年金 & 健康保険
2026年7月確認

外国人が知っておくべき年金・健康保険まとめ

日本に住民登録(中長期在留者・特別永住者等)をする外国人は、日本人と同様に公的年金公的医療保険への加入が原則として義務付けられます。 「短期滞在だから関係ない」と思っていても、就労・留学ビザで住民票を作った時点で加入対象になるケースがほとんどです。未加入・未納のまま放置すると、 督促や財産差押え、在留資格更新時の説明を求められる可能性もあるため、制度の基本と外国人特有の手続き(脱退一時金・社会保障協定など)を理解しておきましょう。

要点: 会社員・パート等で一定条件を満たすと厚生年金+健康保険(社会保険)に会社経由で加入します。それ以外(自営業・フリーランス・学生・無職等)は 国民年金+国民健康保険に自分で市区町村窓口で加入手続きが必要です。どちらに該当するかで保険料も給付内容も大きく異なります。
年金制度:厚生年金と国民年金の違い

厚生年金(会社員・パート等)

会社に雇用され、週の労働時間・日数が正社員の概ね4分の3以上、または一定規模の企業でパート等でも週20時間以上等の条件を満たすと自動加入。保険料は会社と折半、給与から天引きされます。国民年金にも自動的に加入している扱いになります。

国民年金(自営業・学生・無職等)

厚生年金の対象外で20歳以上60歳未満の人が対象。市区町村役場の窓口で自分で加入手続きが必要です。保険料は定額(月額17,510円・2026年度目安)で、全額自己負担・口座振替が一般的です。

留学生・家族滞在等でアルバイトのみの場合は国民年金の対象です。ただし、学生には後述の「学生納付特例」があるため、保険料が払えないからと放置せず必ず手続きしましょう。

年金保険料の免除・猶予制度

学生納付特例制度

  • 本人の前年所得が一定以下の学生(大学・専門学校・日本語学校等)が対象。
  • 在学期間中の保険料納付が猶予され、未納扱いにならない。
  • 市区町村窓口または日本年金機構への申請が必要(自動適用ではない)。
  • 猶予期間は「受給資格期間」に算入されるが、将来もらえる年金額には反映されないため、10年以内の追納(追加納付)が推奨される。

保険料免除・納付猶予制度

  • 失業・収入減少等で本人・世帯の所得が一定基準以下の場合に申請可能。
  • 全額免除・4分の3免除・半額免除・4分の1免除の4段階。50歳未満は納付猶予制度もあり。
  • 免除期間も受給資格期間に算入され、全額免除の場合は年金額にも一部反映される(国庫負担分)。
  • 未納のまま放置すると、老齢年金の受給資格期間(原則10年)に算入されず、障害年金・遺族年金も受け取れなくなるリスクがあるため要注意。
帰国時に重要:脱退一時金制度

日本の年金は原則10年以上保険料を納めないと老齢年金を受け取れません。短期間だけ日本で働いて帰国する外国人がこの条件を満たすのは難しいため、 掛け捨てを防ぐ救済措置として脱退一時金制度が設けられています。

受給できる主な条件

①日本国籍を持たない、②国民年金・厚生年金の保険料納付済期間等が合計6か月以上、③老齢年金の受給資格期間(原則10年)を満たしていない、④日本に住所がない(出国後)状態で、出国後2年以内に請求すること。

請求前に必ず確認すること

脱退一時金を受け取ると、その支給対象となった期間は年金加入期間としてゼロにリセットされます。将来的に日本で再就労し年金を受け取る可能性がある人、社会保障協定対象国の出身者は、請求前に損得をよく確認しましょう。

請求先は日本年金機構。日本国内に住民票がある間は請求できず、出国して住民票を抜いた後に、日本国内に残す代理人や国際郵便で請求書類を提出する必要があります。支給額は納付月数に応じた上限(原則60か月分が上限)があり、受け取り時に一定の税金(20.42%)が源泉徴収されるため、後日「準確定申告」で還付を受けられる場合があります。

社会保障協定(二重加入の防止・年金通算)

日本は複数の国と社会保障協定を結んでいます。協定対象国出身で、一時的に日本へ派遣・赴任している場合は、一定の条件下で日本の年金への加入を免除され、 本国の年金制度にのみ加入し続けられる場合があります。また、日本と相手国それぞれの加入期間を通算して受給資格期間を判定できる「年金加入期間の通算」を認める協定もあります。

  • 協定の内容(保険料免除のみか、通算まで含むか)は相手国ごとに異なるため、該当する可能性がある場合は日本年金機構または勤務先の人事担当に確認が必要です。
  • 協定を利用するには、赴任前に本国の実施機関から「適用証明書」の発行を受ける必要がある場合があります。
  • 協定未締結の国からの赴任者は、脱退一時金制度の活用が現実的な選択肢になります。
健康保険制度:国民健康保険と社会保険

健康保険(社会保険・会社員等)

厚生年金と同時に会社経由で加入。保険料は会社と折半で給与天引き。被扶養者(配偶者・子など)は収入要件(年収概ね130万円未満等)を満たせば追加の保険料負担なく加入できるのが大きな利点。

国民健康保険(自営業・学生・無職等)

社会保険の対象外の人は、住民登録をしている市区町村で加入。世帯単位で保険料が計算され、扶養の概念がないため世帯全員分の保険料がかかる。前年所得や世帯人数によって保険料が変動。

3か月を超えて日本に在留する見込みの中長期在留者は、たとえ収入がなくても国民健康保険への加入義務があります。加入手続きは転入日から14日以内に市区町村窓口で行うのが原則です。

医療費の自己負担割合と高額療養費制度
区分自己負担割合備考
義務教育就学前の子ども2割市区町村により医療費助成でさらに軽減される場合あり
就学後〜69歳3割最も一般的な負担割合
70〜74歳2割(現役並み所得者は3割)所得に応じて変動
75歳以上(後期高齢者医療制度)1割・2割・3割所得区分により異なる

公的医療保険に加入していれば、1か月の医療費自己負担額が一定の上限(所得区分により異なるが一般的な会社員・国保加入者で概ね月8万円台〜9万円台)を超えた場合、 超過分が払い戻される高額療養費制度が利用できます。事前に「限度額適用認定証」の交付を受けておけば、窓口での支払い自体を上限額までに抑えられます。

加入手続き・注意点チェックリスト

入国・転入時

  • 住民登録と同時に、市区町村窓口で国民健康保険・国民年金の加入手続きを行う(会社員は入社時に会社が手続き)。
  • マイナンバーカード・在留カードを持参。
  • 保険証(または資格確認書)が届くまでの間に受診する場合は、いったん全額自己負担後に払い戻しを申請できる「療養費」制度がある。

退職・転職・出国時

  • 退職して国民健康保険・国民年金に切り替わる場合は14日以内に市区町村で手続き。
  • 出国(帰国)する場合は、健康保険証の返却・国民健康保険や年金の資格喪失手続きが必要。
  • 脱退一時金を請求する場合は、出国後・住民票を抜いた後に日本年金機構へ請求書を提出。
公式情報確認:2026年7月26日。 参考:日本年金機構「外国人の方へ」日本年金機構「脱退一時金の制度」厚生労働省「医療保険制度」。 保険料額・給付額・免除基準は年度ごとに改定されます。個別の加入区分や金額は、必ずお住まいの市区町村窓口、日本年金機構、または勤務先の人事担当・社会保険労務士にご確認ください。