税金ガイド
2026年7月確認

知っておくべき税金の基本

外国人は在留資格の種類にかかわらず所得税・住民税の納税義務を負いますが、居住期間や生活の本拠によって課税範囲が変わり、 年末調整だけで済む人確定申告が必要な人の違いなど独特の論点があります。ここではその基本を一つのページにまとめました。

まず確認すること: 自分が税法上「居住者」なのか「非居住者」なのか、居住者の中でも「非永住者」なのかによって、日本で課税される所得の範囲がまったく異なります。 この区分は在留資格の種類ではなく、日本での住所・居所の実態と滞在期間で判定される点に注意してください。
税法上の居住形態:3つの区分

非居住者

日本国内に住所がなく、かつ現在まで引き続き1年以上居所もない人。原則として日本国内で生じた所得(国内源泉所得)のみに課税されます。給与は一般に20.42%の一律源泉徴収で課税関係が終了します。

非永住者(居住者のうち)

日本国籍がなく、かつ過去10年以内に日本国内に住所・居所を有していた期間の合計が5年以下の人。多くの外国人はまずこの区分に該当します。国内源泉所得に加え、国外源泉所得は日本国内で支払われた分・日本に送金した分のみ課税対象です。

永住者(税法上)

日本国籍を持つ人、または非永住者の要件(過去10年以内で5年以下)に該当しなくなった人。在留期間が長くなると自動的にこの区分に移行し、国内・国外を問わずすべての所得に課税されます(※在留資格「永住者」とは別の概念)。

「非永住者」は税法用語であり、在留資格の「永住者」とは判定基準が異なります。
在留資格が「技術・人文知識・国際業務」等でも、日本滞在が通算5年を超えると税法上は「永住者」区分に切り替わり、海外の預金利子や海外不動産の賃料なども課税対象になり得ます。

所得税の基本:年末調整と確定申告

会社員:年末調整で完結するケース

  • 1か所の勤務先から給与を受け、年末まで在籍している会社員は、多くの場合年末調整で所得税の精算が完結し、自分で確定申告をする必要はありません。
  • 「扶養控除等申告書」「保険料控除申告書」等を年末に会社へ提出することで、生命保険料控除・社会保険料控除・扶養控除等が適用されます。
  • 国税庁の所得税率は超過累進課税(5%〜45%の7段階)で、住民税は原則一律10%(都道府県民税4%+市区町村民税6%が目安)です。

確定申告が必要になる主なケース

  • 給与以外の副業所得・海外からの所得などが年間20万円を超える場合。
  • 2か所以上から給与を受けている場合、自営業・フリーランスで事業所得がある場合。
  • 年の途中で退職し、年末調整を受けずにそのまま出国・再就職しなかった場合(税金を納めすぎているケースが多く、還付申告のメリットが大きい)。
  • 医療費控除、住宅ローン控除(初年度)、寄附金控除(ふるさと納税ワンストップ特例の条件を満たさない場合)を受けたい場合。
  • 国外に扶養親族がいて、扶養控除を受ける場合(後述の必要書類あり)。
住民税の仕組み:外国人が誤解しやすい点

住民税はその年の1月1日時点に住民登録がある市区町村が、前年(1〜12月)の所得をもとに課税し、6月から翌年5月にかけて徴収する「後払い」の税金です。 このタイムラグのため、外国人がよくつまずくポイントがあります。

来日1年目は住民税がかからない

来日した年の1月1日にまだ日本にいなければ、その年の住民税は課税されません。ただし翌年6月頃、前年(来日1年目)の所得に基づく住民税の納付書が届きます。「給与から天引きされていないのに急に請求が来た」と驚くケースが多いので、資金を残しておきましょう。

帰国・出国する年は要注意

出国後も前年分の住民税の納税義務は残ります。会社員は退職時に残額を給与や退職金から一括徴収してもらう「一括徴収」の手続きが一般的ですが、個人事業主や国民健康保険同様の手続きが必要な人は、出国前に納税管理人を選任し税務署・市区町村に届け出るのが原則です。

出国(帰国)時に必要な税務手続き

準確定申告

  • 年の途中で日本を出国し、非居住者になる場合、出国日までの所得について準確定申告(出国時の確定申告)が必要になることがあります。
  • 納税管理人を選任すれば、出国後も通常の確定申告期限(翌年3月15日)まで申告を待つことができます。
  • 納税管理人を選任しない場合は、出国日までに準確定申告・納税を完了させる必要があります。

納税管理人の選任

  • 出国後の税務手続き(確定申告書の受領・提出、住民税の納付等)を日本国内で代理してもらう人(家族・友人・税理士等)を指定する制度。
  • 「所得税・消費税の納税管理人の届出書」を出国前に税務署へ提出します。
  • 住民税についても市区町村へ別途、納税管理人の申告が必要な場合があります。

年金の脱退一時金を請求する場合や、出国後に本国で確定申告の還付を受けたい場合も、出国前の準備(口座情報の整理、必要書類の準備)が重要です。年金の詳細は 年金・健康保険ガイドを参照してください。

国外に住む家族の扶養控除

国外に住む配偶者・子・親等を扶養控除の対象にする場合、日本人の扶養以上に厳格な書類提出が求められます。制度の悪用防止のため近年要件が強化されているので注意してください。

  • 親族関係書類:戸籍謄本に相当する書類(出生証明書、婚姻証明書等)とパスポートの写し等で親族関係を証明。
  • 送金関係書類:クレジットカード明細や銀行送金の記録など、その年に生活費・教育費として送金した事実を証明する書類。
  • 年齢要件:16歳以上30歳未満・70歳以上、または留学・障害・38万円以上の送金のいずれかに該当する30歳以上70歳未満の親族でないと、原則扶養控除の対象外(2023年以降の改正)。
  • 会社の年末調整で扶養控除を申告する場合も、これらの書類の写しを会社に提出する必要があります。
租税条約と二重課税の防止

外国税額控除

日本の居住者が国外源泉所得について外国で所得税に相当する税を課され、日本でも二重に課税される場合、確定申告で外国税額控除を受けることで二重課税を調整できます。

租税条約による軽減・免除

日本は多くの国と租税条約を結んでおり、教授・留学生・研修者等の一定の所得について、条約に基づき源泉徴収の免除・軽減を受けられる場合があります。適用には勤務先・支払者を通じて「租税条約に関する届出書」を事前に税務署へ提出する必要があります。

マイナンバーと税務手続き

中長期在留者・特別永住者は住民登録と同時にマイナンバー(個人番号)が付与されます。年末調整・確定申告・銀行口座開設・証券口座開設など、税金や金融手続きの多くの場面でマイナンバーの提示を求められるため、通知書またはマイナンバーカードを大切に保管してください。

目的別・関連ページ

実際の計算や個別の申告作業には、下記の専用ページ・計算機もあわせてご利用ください。

公式情報確認:2026年7月26日。 参考:国税庁「居住者・非居住者の判定」国税庁「確定申告が必要な方」国税庁「租税条約に関する届出書」。 税制は年度ごとに改正されます。個別の申告要否・控除の適否は、必ず所轄の税務署、市区町村の税務窓口、または税理士にご確認ください。